インファナル・アフェアの字幕について

香港映画の名作、インファナル・アフェア第一作を見直している。

たまたま思い出したのが、ホンサムの最初のセリフ、「新界のレストラン前で配車商売を始めた」というもの。

よく考えてみれば、香港マフィアのボスがレストラン前で配車商売など始めるはずがない。でも映画に見入ってしまえば、深く考えずに見てしまうだろう。中国語が分かれば話は別だが。実際に日本語版のDVD、英語版のDVD、AI、google翻訳を駆使して、調べてみた。


ホン・サムが第一作の冒頭シーンで語るセリフ
「私は5年前に屯門(Tuen Mun)の泰興邨(Tai Hing Estate)にあるロイヤルパレスレストラン(皇家宮殿酒樓)の前で、配車商売を始めた」

ビジネスの実態は「運び屋」
彼が始めた「配車商売」とは、単なる合法的な配車サービスや駐車整理ではなく、タイからの麻薬を香港内で流通させる「運び屋」稼業(麻薬密輸)ということ。「1年で6人の兄弟が死んだ」という言葉が、そのビジネスの危険性を示唆している。配車商売をやってなぜ6人の兄弟分が死ぬのか。

日本語字幕と英語版字幕の差異
各国版の字幕は、このオリジナル音声の内容を以下のように翻訳していた。
日本語版DVD字幕: 「新界のレストラン前で」といった意訳が多く、店名や団地名が省略されていたり、「配車商売」とマイルドに訳されていた。

英語版DVD字幕: “Tuen Mun’s Tai Hing Estate” と、団地名と地域名を比較的正確に字幕化。
結論: 日本語版の字幕は意訳が過ぎたため、本来のセリフの持つ具体的なニュアンスや、彼が庶民的な場所から成り上がったという背景が伝わりにくくなっていた。

場所の意図
「屯門の泰興邨」という具体的な場所は、香港の中心部から離れた郊外の公営団地(庶民的な地域)で、ホン・サムは、エリートではなかった自分が、そのようなローカルな場所から裏社会の頂点へとのし上がった、という自伝的なストーリーを語る。

何かしらの事情があり配車商売とするしかなかったのだと思いたい。映画とはいえ麻薬の運び屋という表現がまずかったのか。ただそれにしても映画の序盤で配車商売という言葉が使われると、前後の話が全く異なってくるのだから、なんとかならなかったものかと思った次第である。配車商売という言葉から麻薬の運び屋をすぐに連想できる人、いるのだろうか?